会社の忘年会は何の為にあるのか
会社の飲み会は、「飲みニケーション」と言われています。それは社員同士の親睦会の意味合いを持ち、本音を言い合い、愚痴もこぼし、会社を円滑に動かすための大切な場だとされています。しかし、最近はそれを必要ないとし、不参加を申し出る若い社員が多いです。それは、若い社員の会社に対する意識と、時代の流れが要因だと思います。私も会社の飲み会はあまり好きでは無いです。ですが、会社の飲み会とは実はそんなに簡単なただの飲み会ではないという事が最近分かってきました。
会社の飲み会を開きたい上司の立場
この世で一番心身共にもっとも疲弊する役職は何でしょう。社長ですか、正社員ですか、正解は「中間管理職」です。飲み会を開きたい上司の立場は、課長や部長の様な典型的な中間管理職だと思います。中間管理職は、下からは「会社の指示の不満」を言われ、上からは「下にさせる仕事の命令」され、とんでもない役職です。私の会社のまじめな中間管理職もそれはそれは悲惨です。
そんな中間管理職さんが、どうにかして不平不満を解消し、上と下を仲良くさせる手立てはないかと考えた時に、出てくる1つの案が飲み会となります。その為、中間管理職さんは、藁にもすがる気持ちで飲み会をやりたがります。
後輩は、一人立ちしたら恩は消滅とは
新入社員の時に、会社には大変な迷惑をかけたと思います。先輩が自分の仕事並行して教育をしてくれたおかげで、一人立ちで来たんだと思います。それは出来るだけ返すべき「恩」なのではないでしょうか。勿論、会社の求めた社員なんだから、会社が育てて当然という意見も理にかなっていると思います。最近は就活生でも「求人に赴いてあげているのに落とされる」という意見を聞きますが、それなら逆に、起業して1から作り上げてなんとか軌道に乗せた会社にお世話になる立場として考えた場合はどうでしょう。嫌なら自分で1から起業するしかないと思います。会社は軌道に乗せた会社を維持したい。就活生は軌道に乗っている会社に入って給料をもらいたい。どちらもお互いに平等な立場ではないでしょうか。どちらが偉いとか権利があるとか、無いと思います。
恩は正義であり正解ではない
ただし、その「新人の頃の恩」は良くない方向にも働いています。政界に多いですが、例え総理大臣になっても、「新人の頃の恩」のせいで忖度だらけになり、突っ込んだ政治が出来なくなる事例が大変多いです。ある車会社が、会社のスリム化に成功したのは、トップに招いたのが、会社に恩や忖度が一切ない立場だった為、成功した事例と言えるでしょう。「恩」とはいい面も悪い面もあります。
中間管理職の悲鳴はどこで言えばいいのか
飲み会離れの原因の一つに、上司の愚痴や説教が挙げられます。上司も人間なので、感情があります。それらは「パワハラ」の強調される世の中で、どこで言えばいいのでしょう。逆に言えば、愚痴や説教を言われないと絶対的な自信を持てる仕事の質を会社に提供できているでしょうか。叱責はいう方が100悪いのでしょうか。言わせている側に絶対に落ち度はないのでしょうか。考えるべき点だと思います。
暴走しやすい「パワハラ」や「権利」という言葉
現代の流れでは特に、中間管理職は何も言えないと思います。「パワハラ」「権利」という言葉は時として暴走します。数年前のテレビ番組で、中間管理職の女性が17時を過ぎても、今日の予定分まで終わらせてほしいと現場に言ったところ、「俺達はあんたの玩具じゃない」と言われていました。その通りだと思います。しかし、ではクライアントの求める期限までに工事は終わるのでしょうか。計画も進行も工程も全て上に任せていて、現場は事前に工程表を熟読して精査し、認証したのでしょうか。勿論社外秘で見せてもらえない書類もあると思いますが、工程の遅れやミスは現場に一切責任がないのでしょうか。「権利」を主張する前に「義務」を果たしている事が主張の前提にあるべきだともいます。ただしそれは物凄く難しい話であり、その振れ幅は永久に止まらない振り子だと思います。その振り子を止める唯一の方法が「信頼関係」である事だけが確実な事実だと言えるでしょう。
若い社員の考えが全く変わっている
昔の社員は会社に忠誠を誓い、出世する為に、評価してもらう事に一生懸命でした。飲み会や付き合い等もその手段の1つであり、認めてもらう為に会社に尽くしました。
今の若い社員は、出世に興味がありません。会社は労働力を提供し、給料をもらうだけの場所になっていて、特に社員同士で仲良くしようとかあまり考えていないと思います。出世欲もほとんど無い人がほとんどで、「正社員になると責任がでてくる」という正論まで聞こえてきます。こういった考えの社員が、会社の飲み会に出たくなるとは到底思えません。現状維持で満足している社員が、会社にアピールする意味が無いからです。この事から、時代は大きく変わったと言えると思います。
会社の飲み会は断る権利
会社の忘年会は断るけど、友人とは飲み会に行くという人、私の周りにも多いです。特にこれについて深堀しませんが、難しい問題ですね。
会社の忘年会は、お世話になっている中間管理職さんの悲鳴を聞いてあげて、社員同士の仲の良さを見せて安心させてあげる運動会感覚で出席するのも、年末の恩返しとして良いのではないかと思います。
偉そうな事を言っていますが、忘年会についてこう理解しているつもりでも、私は忘年会の出席は悩んでしまうし、日付が変わったり、3次会は勘弁していただきたいとも思っています。ごめんなさい。
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